治療の仕方
クレチン症には甲状腺ホルモンを投与します。
甲状腺ホルモン剤にも2種類ありT3成分の「チロナミン」や「サイロニン」と
T4成分の「チラーヂンS」とがあります。
一般的に機能低下の場合チラーヂンSが使われることが多いのです。
また子供さんの成長期によって薬の量も変ってきます。
成長期には甲状腺ホルモンが足りず増量しますし、一定期間が来れば
減量することもあります。
「薬が増えてどうしよう・・・」と落ち込まずに「成長してるんだ」と思えば
気持ちも楽になってきますよ。
TSH(甲状腺刺激ホルモン)の数値が少し高い場合でも
チラーヂンSを服用する場合があります。
3歳までに脳の80%出来上がります。
その間に甲状腺ホルモンを服用しておき二次障害が出ないように
しておくのです。
さて、甲状腺ホルモン剤の話を少し・・・・
ここではチラーヂンSの事をメインに書かせていただきます。
チラーヂンSは半減期がとてもゆっくりしていて1回摂取すると大体
3日ほど体内に残存しています。
そして脳下垂体ホルモンが甲状腺ホルモンが足りない分量だけ
吸収するように指示をして取り込まれていくのです。
しかし、3日ほど残存はしているものの
やはり毎日飲ませてあげてください。
また飲む時間帯は朝に飲ませてあげてください。
寝る前などはT3の血中濃度が高くなり少し興奮状態に
なってしまいます。
人はT4を服用したら消化器官から吸収され肝臓でT3に変えられます。
そのT3は人の体の状態で必要量だけ吸収されるのです。
このような事を書くと・・・・・・
「じゃぁT3成分のチロナミンやサイロニンを飲んでいればいいのでは?」
と、なってきますがT3の半減期は早く1日1回のチラーヂンSに比べ
1日3回の投薬となります。またT4は体内でゆっくりと溶け込み必要量だけ
吸収するので体にはやさしいということになります。
また、「昨日、飲み忘れたから今日は昨日の分も・・・」
と、言ったことは絶対にやめるようにしましょう。
過剰摂取となり、今度は亢進症になる恐れもあります。
風邪薬などでも「昨日わすれたから。。。」と、言って
昨日の分まで一緒に飲むことはないでしょう?
それと、同じような意味なのです。
他の薬との併用、副作用は???
基本的にホルモン剤なので副作用は大丈夫でしょうが他の薬と飲み合わすと
互合作用が出る場合があります。
たとえば「ワルファリン」や「交感神経刺激薬」の副作用を強めたり
「ジギタリス系の強心剤」の作用を弱めたり、「貧血剤」などの吸収を弱めたり
ということが起こりえる可能性もあります。
病院にかかられる場合は現在チラーヂンSを服用していることを
伝えておいた方がいいでしょう。